診療内容紹介:外科   
 東札幌病院は日本外科学会と日本乳癌学会の修練施設に指定され、日本外科学会認定の外科専門医が4名勤務しています。各医師の専門は、消化器領域が2名、乳腺・甲状腺領域が2名で、消化器外科学会と乳癌学会認定の専門医が常勤しています。



消化器外科

 鼠径ヘルニア、胆石症、痔などの良性疾患と胃癌、大腸癌などの消化器悪性疾患を診療しています。
 近年、技術進歩の著しい腹腔鏡下手術は、鼠径ヘルニア治療にも導入されています。また、胆石症については切開部を一つとし、ほとんど傷跡の残らない方式(単孔式腹腔鏡下手術)に取り組んでいます。
 胃癌や大腸癌は手術後に抗癌剤治療を必要とすることがありますが、外来化学療法室を完備し、静かな環境で治療を受けていただけるよう努めています。




甲状腺外科

 全国的な甲状腺疾患研究・診療拠点の一つ、上條甲状腺クリニックと密に連絡を取り合い、治療がすすめられます。超音波検査技師は3名おり、細胞検査やエタノール注入療法が外来で行われています。甲状腺手術は年間50人以上の方が受けられており、習熟度の高い病棟スタッフにより、安心して療養が受けられるものと思います。




乳腺外科 

 乳癌検診は女性放射技師と女性超音波検査技師が担当しています。また、マンモトームという装置を用い、正確な細胞検査を行うことが可能です。乳房温存手術については、放射線と色素検査を併用したセンチネルリンパ節生検により、適応を決めています。放射線治療を必要とされる方については、院内に放射線治療装置(リニアック)を配備し、負担の軽減に役立っています。
また、乳癌治療の心理的負担に対処し、乳癌撲滅の社会的啓蒙を行うため、「With You Hokkaido」と「ピンクリボン運動」の事務局が院内に設置されています。


乳癌検診
 
 当院では乳腺外来を週4日間行っており、この曜日に受診していただければ乳癌検診を受けていただくことが出来ます。基本になるのはマンモグラフィによる検診です。当院では厚生労働省の基準に準拠した機械を導入しております。また専属の女性のレントゲン技師 が撮影を行うようにしております。超音波検査を併用することにより検診の精度を上げる工夫をしております。マンモトームの石灰化病変に対してはマンモトーム生検を行っています。
 腫瘤や乳頭分泌などの自覚症状が無い時期に発見された乳癌はより縮小した外科治療を受けられる可能性が高いため、一年に一度は乳癌検診を欠かさず受けていただきたいと思います。

手術
 
 昨年は一年間で約45例の乳癌症例を手術させていただきました。以前は進行乳癌の症例が多く術前化学療法などにより腫瘤を縮小させ手術を行い得た症例が多い傾向にありました。昨今では早期乳癌症例が増加したことにより乳房温存療法を行う症例が増加しております。

   乳癌手術後のリンパ浮腫のケアについて

センチネルリンパ節生検

 早期乳癌症例の増加とともに腋窩のリンパ節郭清をなんとか省略できないものかと考えられるようになりました。腋窩リンパ節郭清の主な目的は予後の予測や術後補助化学療法の選択にあります。しかしこれを行うことにより患側上肢の浮腫(むくみ)を来すことがあり、著しいQOLの低下を招く可能性があります。
 乳癌患者全体の半数以上は腋窩リンパ節転移がなく、早期乳癌に限ればほとんどの症例にリンパ節転移が無いことになります。このためすべてのリンパ節をとらずに一部のリンパ節のみを生検することにより腋窩全体のリンパ節転移の状況を捉えれる方法が検討され、最近臨床にも徐々に浸透して来ました。その方法がセンチネルリンパ節生検です。
 現在、センチネルリンパ節生検の定義は“腫瘍からのリンパ流が最初に到達するリンパ節”と定義されています。すなわち、乳房の癌組織からリンパ管に入った癌細胞が最初に到達するリンパ節であり、領域リンパ節の中で最も転移の可能性が高く、その見張りの役割をするリンパ節”です。
 センチネルリンパ節をさがす方法として、色素を用いる方法と放射性同位元素を用いる方法があります。それぞれの方法には一長一短があり、これら2つの方法を併用することにより正確なセンチネルリンパ節の同定を行うようにしています。したがって、当院での早期乳癌に対する標準手術は乳房部分切除+センチネルリンパ節生検です。

術前化学療法

 術前化学療法の主な目的のひとつは病期V以上の進行乳癌症例の腫瘤の縮小をはかり手術可能な状態にすることであり、さらには腫瘤の縮小により乳房温存率を増加させることであります。当院では前者が主な目的です。化学療法の投与方法はFEC(5Fu+ファルモルビシン+エンドキサン)を4コース行い、タキソテールを4コース投与する方法が中心です。これまで病期Vで顕微鏡で観察してもがん細胞が完全に消失した症例が2例ありました。



口腔外科

 平成15年10月より専任の口腔外科専門医が着任し新体制でスタートしました。
 当科では
  1)埋伏歯の抜歯をはじめ、歯の移植・再植手術、インプラント埋入手術、
  2)顎骨骨折、歯の脱臼、
  3)嚢胞、腫瘍に対する外科手術
  4)歯性炎症
  5)口腔粘膜疾患(口内炎・口腔乾燥症・舌痛症・味覚障害など)
  6)唾液腺疾患、顎関節疾患、神経疾患(三叉神経痛、顔面神経麻海)など
 口腔外科全般の治療をおこなってます。

 ・歯や歯ぐきが腫れて痛い、
 ・顎や顔が急にはれた口の中や歯、顎を強く打つなどケガをした
 ・口内炎、口の中の傷がなおらない
 ・口の中にできものができた
 ・口を開けるとき音がする、顎が痛い、開けずらい
 ・口が渇く、舌がピリピリして痛い
 ・インプラントの治療を考えたい、
 ・インプラントをするには骨が足りないといわれた 
 などありましたらぜひ受診していただきますようお願いいたします。

 また、全身的な疾患(心臓病、脳血管障害、糖尿病など)のため、一般歯科医院では歯を抜いたり、歯科治療が難しい場合などにはその患者様の歯科治療を行っています。
当科ではこれらに加え、癌化学療法を受けられる患者様、誤嚥性肺炎の患者様の口腔ケアに積極的に取り組んでおります。
 口腔癌患者様の緩和ケアに積極的に取り組んでおります。

 口腔の健康を通してみなさまの健康保持に役立てることを願っております。
 お問い合わせ等ございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。



麻酔科 

 東札幌病院麻酔科には、麻酔科専門医が常勤医としており、当院における定期・臨時手術に対応しています。
 手術日は毎週月・火・水・金曜日であり、乳腺・甲状腺・腹部一般外科に加え、口腔外科の手術が行われ、年間で約300症例程の麻酔症例を担当しています。
安全に手術を行い、順調に術後を過ごしていただけるように、各科医師と連携をとりながら、周手術期の管理を行うよう心がけています。